ケース別対処法

所有者が死亡した車を売却する手続き

PR 2018/05/07 2021/02/25

親族が亡くなったけれども、そのなく買った親族が自動車を所有しており、その自動車を引き続き乗る人がいないという場合には、所有者が死亡した自動車の売却手続きが必要になります。

所有者が死亡した車を売る場合に必要書類

親が死亡した場合に、親が所有していた自動車を乗る人がいないので、その自動車を子供が売却するということはよくあります。

このように、所有者が死亡した自動車を売却するケースでは、名義変更手続きに必要になる書面が、売主が自分の自動車を売る場合とは、異なっています。

所有者が死亡した自動車を売却する場合に必要となる書面は、以下のとおりです。

  • 死亡者の法定相続人を明らかにする戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 印鑑登録証明書
  • 譲渡証明書
  • 委任状
  • 自動車税納税証明書
  • 車検証
  • 自賠責保険証

このうち、所有者が死亡した自動車を売却する場合に特有の書面としては、戸籍謄本と遺産分割協議書の2つが上げられます。

また、印鑑登録証明書についても、普通の売却では、売主の印鑑登録証明書があればよいのですが、所有者が死亡した自動車を売る手続きの場合には、死亡者の法定相続人全員の印鑑登録証明書が必要になります。

所有者が亡くなっている車を売却する手続き

車検証の所有者が死亡者である場合には、死亡者から現在生きている人(死亡者の相続人など)に車の所有者の名義変更手続きを経なければ、車を売ることはできません。

一度、死亡者の相続人などに車の名義変更手続きを行い、その後、車検証上の所有者になった相続人等が買主に車を売るという流れになります。

所有者が死亡者である車の売買はできないため、車の名義を死亡者から相続人等に変更する手続きは必ず行う必要があります。

その手続きには、遺言書や遺産分割協議書、死亡者と新たに車の所有者となる者の続柄を証明する戸籍謄本等が必要になります。

この手続きは複雑なので、自信のない方は行政書士などの専門家に手続きを依頼したほうが良いでしょう。

所有者が死亡した場合の手続きで必要になる遺産分割協議書

書類と印鑑
遺産分割協議書とは、被相続人(死亡者した方)の財産を、法定相続人全員が話し合って、その分け方を決め、それを書面に認めたものです。

たとえば、被相続人の所有していた土地は長男Aが、現金と株式は次男Bが、自動車は三男が、それぞれ取得する、などといった内容になっています。

遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押印し、印鑑登録証明書を添えなければ、有効にはなりません。

土地や建物などの相続のために遺産分割協議を行い。

その時に、被相続人が所有していた自動車を誰が相続するかということも一緒に決めており、そのことについて、遺産分割協議書に記述されている場合には、その遺産分割協議書が、所有者が死亡した自動車の名義変更手続きの添付書面として、そのまま使えます。

別の手続きで作成した遺産分割協議書がない場合には、国土交通省がインタ―ネット上で公開している自動車車検・登録ガイドから、所有者が死亡した場合の売る場合に必要となる遺産分割協議書の雛形がダウンロードできますから、これを使うと間違いはないでしょう。

車の価値が100万円以下だと、遺産分割協議書が不要

書類
一般的には、所有者が死亡した自動車を売る場合に必要となる遺産分割協議書は、相続人全員が実印を押印し、全員分の印鑑登録証明書を添えなければなりません。

しかし、手続きの対象となる自動車の価格が100万円以下の場合には、手続きをおこなう者の実印のみで作成できる(したがって、相続人全員の印鑑登録証明書は不要)遺産分割協議成立申立書があれば、遺産分割協議書の添付を省略できます。

遺産分割協議成立申立書の雛形は、運輸支局のホームページなどからダウンロードできますので、これを使うと、便利で間違いがありません。

ただし、この書面には、対象となる自動車の価格が100万円以下であることの証明書をつけなければなりません。

この証明書は、査定機関または都道府県の税務事務所などの窓口などで取得します。

相続人全員から実印を押印してもらい、さらに、印鑑登録証明書まで取得するというのは、結構大変な手続きです。

中古車を売る場合、査定額が100万円を超えるというのは、そう多くはないと思います。

査定額が100万円以下であれば、対象自動車の相続人のみの実印と印鑑登録証明書で作成できる遺産分割協議成立申立書を使って手続きをするのが大変便利です。

軽自動車は印鑑登録証明書や戸籍謄本が不要

軽自動車 ミニバン
所有者が亡くなった軽自動車を売る手続きは、普通乗用車を売る場合の手続きよりも非常に簡単です。

相続人全員の押印のある遺産分割協議書の提出は不要です。

死亡した登録名義人と、新所有者が親族であることを証する戸籍謄本と、認印があれば手続きは可能です。

所有者が死亡した軽自動車を売却する場合に必要となる書面は、以下のとおりです。

  • 死亡者と新所有者の関係を明らかにする戸籍謄本
  • 新所有者の印鑑(認印可)
  • 旧所有者(死亡者)の印鑑(認印可)
  • 新所有者の住民票(写)
  • ナンバープレート(管轄に変更がない場合は不要)
  • 車検証
  • 軽自動車税申告書
  • 自動車取得税申告書
  • 自動車検査証記入申請書

所有者が死亡者し自動車を売る場合、死亡者から直接第三者に名義を直すことはできません。

一度、死亡した所有者の親族(相続人)に名義変更を行い、その後、その相続人から買主である第三者に名義を直します。

自動車税の手続き

所有者が死亡した自動車を売った場合、自動車税の未経過分があれば、それは、査定額に上乗せする形で、買主から売主に支払われるのが通例となっています。

買主が買い取った自動車を乗り続ける場合には、自動車税の還付はありませんから、未経過分があれば査定額に上乗せせる形で清算が行われるだけで、売主の方では特に手続きはありません。

買主が買い取った自動車を廃車にする場合には、月割りにして未経過分の自動車税が売主に還付されます。

自動車の廃車手続き(抹消登録)を行うと、自治体から売主の元に「支払通知書」が郵送されてきます。

それを持って、指定の銀行等の窓口に行けば、還付金を受け取ることができます。

抹消登録手続きは、自動車を買い取った買取店が行うので、売主は特に手続きは不要です。

任意保険の手続き

所有者が死亡した自動車を売った場合、任意保険の解約の手続きも必要になります。

死亡した所有者が加入していた任意保険会社に連絡して、相続人が亡くなった所有者を代理して解約の手続きを行います。

その際、未経過の保険期間があれば、未経過分の保険料の還付金を受けることができます。

所有者が死亡した自動車を家族が乗り続ける場合には、保険契約者の変更手続きを行うこともできます。

その場合、死亡した方の保険のノンフリート等級が高い場合には、引き続き運転を行う親族の方が、亡くなった方と同居していた場合には、その高いノンフリート等級を引き継ぐことも可能です。

場合によっては、手続きを専門家に依頼することも必要

所有者が死亡した自動車を売却する際の手続きは、遺産分割協議書の作成などや、戸籍謄本などを収集する必要があり、結構大変です。

そういった手続きを、売主が、ご自身で行うことはまったく問題はありませんが、場合によっては、非常に長い時間がかかったり、費用が余分に発生したりします。

所有者が死亡した自動車の名義変更手続きを専門に代行する専門家には、行政書士があります。

その手続きをご自身で行うことが不安だという方は、その手続きを、行政書士に依頼するという方法もあります。

行政書士に依頼した場合には、費用は掛かりますが、迅速かつ正確に、手続きを行うことができます。