車の売却契約を解除するための手続きと注意点
一度契約した自動車の売買契約を、後から、なんらかの理由でキャンセルするということも十分に考えられます。
その場合には、早めに買取店に解約の連絡を入れることが重要です。
キャンセル料が請求されることもあります。
目次
買取契約後にキャンセルするためのポイント
売買契約後にキャンセルする際のポイントは、できるだけ早くキャンセルの連絡を買取店に入れることです。
ほとんどの買取店では、買い取った自動車を点検・整備して、オークションなどに転売します。
買取店がオークションなどに出品するために、買い取った自動車を買取店の駐車場から移動させる前であれば、キャンセルはそんなに難しくないでしょう。
キャンセル料も少なくて済みます。
買取店が買い取った自動車をオークション出品に向け、買取店の駐車場から移動させた後であれば、キャンセルは難しくなります。
その場合には、多額のキャンセル料を請求されたり、キャンセル自体ができないことも十分に考えられます。
キャンセルをするのであれば、売った自動車が買取店から離れるまで(1日~3日後まで)にするべきです。
契約書にサインする前であれば、契約のキャンセルは非常に簡単です。
買取店にも迷惑は掛からないし、キャンセル料を取られることもありません。
キャンセルするのであれば、このタイミングがベストですので、契約する前に、契約書をよく読んで、少しでも疑問があれば、担当者によく確認し、十分に納得してから、契約するようにします。
他社が高いからというキャンセル理由はトラブルの原因
売買契約書にサインした後に契約をキャンセルするケースには次のようなものがあります。
- 詐欺や脅迫によって契約書にサインした場合
- 未成年の子が親の承諾を得ていないことが後から発覚した
- 契約書に記載してあるキャンセル要件が満たされた
- 契約書に記載してあるキャンセル料金を支払って契約をキャンセルする
キャンセルのうち買取店が一番嫌がるキャンセルは、売主が契約が決まった後により高く買い取ってくれる買取店が見つかったから、その買取店と契約するために御社との契約をキャンセルしますというものです。
このような理由でキャンセルする場合には、損賠賠償問題に発展する可能性があり大きなトラブルの原因となります。
車の売買契約にはクーリングオフは適用されない
クーリング・オフ制度とは、一定契約に限り一定期間説明不要で無条件に契約を解除できる制度のことです。
現在のところ、クーリング・オフが適用されるのは、以下の契約などに限定されています。
- 訪問販売
- 電話勧誘販売
- マルチ商法
- 宅地建物取引
- ゴルフ会員権販売
- 投資顧問販売
自動車売買契約はクーリング・オフ制度の対象とはなっていませんので、契約締結後一定期間内であれば無条件に契約を解除できるというわけにはいきません。
キャンセル料の相場は車両価格の10%程度と言われていますが、正当な理由がなく契約をキャンセルする場合にはキャンセル料を支払う必要があります。
自動売買の契約書にサインする際には間違いがないように十分に気を付けなくてはなりません。
キャンセルに対する契約店の対応はお店によって異なる
買取店にもさまざまあります。
買い取った自動車は、原則自分のお店の展示場に展示し、店頭販売のみを行うところもあれば、買い取った自動車を積極的にオークションで販売する会社もあります。
店頭販売とオークションを併用している場合もあるし、オークションへの出品を専門に行っているところもあります。
買い取った自動車を自分のお店の展示場で販売する買取店の場合、買取先が見つかるまで時間がかかりますので、キャンセルできる期間は長くなります。
一方、オークションへの出店だと、だいたい、自動車引渡しから1日~3日後には、オークション会場に向けて自動車が発送されますから、キャンセルできる期間は短くなります。
買取の時点で、次の買い手が決まっていることがあります。
ここで、一度した契約を後からキャンセルすると、買取店の信用が大きく損なわれますから、このようなケースでは、買取り直後であっても、キャンセルが難しい場合もあります。
キャンセルできる期間がどのくらいかということや、キャンセル料の相場は、ケース・バイ・ケースで判断する必要もあります。
ガリバーやアップルなどの大手買取店の場合、あらかじめキャンセル可能期間を設定していることが多いので、こういった大手買取店と買取契約を結ぶ場合には、担当者にキャンセル可能期間について、よく確認しておくとよいでしょう。
安心してキャンセルができるタイミング
安心してキャンセルができるタイミングは、自動車と必要書類を買取店に引き渡す前です。
このタイミングであれば、買取店の方で、キャンセルによって損額を受けることはほとんどありません。
必要書類は、売買契約と同時に引き渡すのが通例ですから、実際には、契約書にサインしてから、車両を引き渡すまで(通常は1日~1週間程度)の期間が、安心してキャンセルできるタイミングとなります。
キャンセルの理由としては、契約の締結後、より高い査定額を提示する買取店が見つかったので、前の契約をキャンセルして、後からの新しい買取店と契約したい、というものが多いと思います。
ただ、このケースでは、複数の買取店の担当者を同じ日同じ時間に一堂に集めて、同時査定を行ってもらい、もっとも高い査定額を付けた買取店と契約すれば、後からキャンセルするような面倒な事態を防止できます。
契約書の内容に後から納得できない事項が見つかったので、契約をキャンセルしたいというケースもあるかもしれませんが、それは、事前に契約書を十分に読んで、少しでも疑問があった場合には、買取店の担当者によく確認してから契約書にサインすることにしておけば、契約後のキャンセルをある程度は防止できます。
キャンセルが決まったらすぐに連絡すること
キャンセルが簡単か難しいか、キャンセル料が高いか低いかは、キャンセルによって発生する買取店の損害が大きいか小さいかにかかっています。
キャンセルによる買取店の損害が大きければ大きいほど、キャンセルは難しくなり、キャンセル料が高くなっていきます。
キャンセルによって買取店が被る損害額は、契約締結からキャンセルまでの時間が長くなればなるほど、大きくなっていきます。
キャンセルが決まったら、ぐずぐずせずに、すぐに買取店に連絡を入れることが必要です。
キャンセル料が急に上がるのは、車両がオークション出店などのために買取店を離れる瞬間(車両引取後1日~3日後)です。
キャンセルをする場合には、どうしても、このタイミングまでに連絡を入れる必要があります。
契約後の各段階での買取店の損害額について
たとえば、契約書を締結し、必要種類を買取店の担当者に交付した後、車両がレッカー車で自宅から運び出される前にキャンセルがあった場合、買取店の被る損害はほとんどありません。
担当者は預かった必要書類を売主に返却するだけですので、費用はほとんどかかりません。
担当者の出張旅費がムダになりますが、それは契約が不成立であったと考えれば、損害というほどのものではありません。
車両がレッカー車で運び出された後、車両が修理・点検に入るまでにキャンセルがあった場合、買取店のキャンセルによる損害額はレッカー費用(5,000円~10,000円)の金額になります。
車両が買取店に到着し、点検・整備が終わったところでキャンセルが入ると、買取店の損害は、レッカー費用、点検・整備費用となります。
ただし、買取店は安価に点検・整備ができますから、この段階でも、買取店の損害はそう大きくはありません。
点検整備が終わると、車両は、オークション会場に向かってレッカー車で移動するわけですが、車両が買取店を離れた後にキャンセルが入ると、それまで車両にかけたすべての費用にオークションのキャンセル料とレッカー費用が加算されます。
また、次の買い手が決まっていた場合、それもキャンセルすることになるので、買取店の信用も失います。
買取店がキャンセル料を請求されることもあります。
この段階まで来ていると、キャンセル不可能としている買取店も多く、仮にキャンセルを認めている買取店でも、売主に高額のキャンセル料を請求してきます。
キャンセルが難しいケース
キャンセルが難しいケースとしては、以下の3ケースが考えられます。
- 次の買い手が決まっている
- 買取店が定める契約期間が過ぎている
- すでにオークションに出品している
次の買い手が決まっている場合に前の売主からキャンセルがでると、買取店は、大きく信用を失います。
と次の買い手は怒ってしまうかもしれません。
仮に、キャンセルによって、レッカー費用や点検・整備費用がムダになってしまうという損害額が少なくても、買取店は、店の信用を失うことを嫌がりますので、こういうケースでのキャンセルは難しくなります。
ガリバーやアップルなどの大手買取店は、契約書に解約可能期間に関する条項を設けているケースがほとんどです。
契約に解約可能期間が設けられている場合、この期間を経過すると、キャンセルは事実上不可能になります。
大手買取店に自動車を売る場合には、この解約可能期間について、買取店の担当者によく確認しておく必要があります。
オークションにすでに出品されてしまっている自動車の売買契約の解約も難しくなります。
オークションに出品されている自動車の売買契約を解約すると、オークションに対するキャンセル料、オークション会場へのレッカー費用、点検・整備費用、売主の自宅から買取店までのレッカー費用、名義変更費用と、さまざまな費用がムダになり、買取店の損害額が大きくなります。
よって、この段階でのキャンセルも難しくなります。
キャンセル料の確認方法について
契約書にキャンセルに関する条項がある場合には、その条項には、キャンセル料に関する部分があるはずですから、それを見れば、キャンセル料を確認できます。
大手買取店の契約書では、キャンセルに関する条項を設けていることが多いのですが、中小の買取店の契約書には、キャンセルに関する条項がない場合もあります。
その際には、買取店の担当者にキャンセルがあった場合の対応について、確認しておくとよいでしょう。
口頭での確認では、後から、言った言わないの話になるので、できれば、話の内容を書面に認めておくのがよいでしょう。
その際に、キャンセル料についても話を含めておきます。
キャンセル料の相場について
キャンセル料は、原則として、キャンセルがあった場合に買取店が被る損害の金額を基礎に算定されます。
キャンセルがあった場合に、買取店に生じる損害(費用)には、以下のようなものがあります。
- 出張査定や引取りにかかる人件費
- 名義変更などにかかる人件費
- 車両の保管にかかると地代
- 車内クリーニング費用
- 車両の点検・整備費
- 陸送費(レッカー料)
出張査定や引取りにかかる人件費や車両の保管にかかる人件費、車両の点検・整備費などは、買取店ごとにまちまちなので、一般的な水準を出すことは難しいのですが、名義変更などの手続きにかかる費用は人件費込みでだいたい5,000円程度、車内クリーニングにかかる費用は、外注しているとして、だいたい5,000円~10,000円、陸送費が、だいたい10,000円~20,000円程度となります。
これらの費用見積もりから算定したキャンセル料金のおおよその相場は50,000円~100,00円程度になります。
この他、転売して利益を得ることを期待していた場合、キャンセルがなく、買い取った自動車を転売していたら得ることができた利益の金額を、キャンセル料として請求される場合もあるので、そのようなケースでは、キャンセル料が異常に高い水準となることもあります。
法外なキャンセル料を請求されることもあるので注意する
数は少ないですが、自動車の売買契約をキャンセルした場合、法外なキャンセル料を請求してくる買取店もあります。
そのような買取店は、売買契約の段階で、キャンセルに関する取り決めを何もしていないところに多く見受けられます。
後から法外なキャンセル料を請求されないように、契約の段階で、キャンセルをした場合の対応やキャンセル料をよく確認しておく必要があります。
キャンセル料の相場を知っておくことも大切です。
契約直後で、自動車の引渡し前にキャンセルをした場合、買取店にはほとんど損害が発生していません。
それにもかかわらず、高額のキャンセル料を請求してくるケースでは、詐欺である可能性があります。
キャンセル料のおおよその相場を知っていれば、キャンセル料が正当なものか詐欺まがいのものかは、ある程度はめぼしがつきます。