日本自動車査定協会(JAAI)による中古車査定価格の算出方法
中古自動車の査定を依頼する場合に、買取店はどのような方法で査定を行うのかということは非常に興味のあるところです。
そこで、以下では、中古自動車の査定がどのような方法によって決められるか、ということについて解説します。
中古車の査定価格はどのようにして定まるか
中古車査定の大部分は、日本自動車査定協会(JAAI)が定めた基準によって行われます。
それによると、査定の流れは、基本価格⇒基本価格⇒査定価格の流れに沿って行われます。
まず、基本価格とは、査定対象者の「車種、年式、走行距離」ごとに、中古車市場の価格を参考にしながらJAAIが毎月設定している価格のことです。
基本価格は査定価格の大元を決定する価格ですか、これは、JAAIの基準に従い、査定対象車両の「車種、年式、走行距離」に基づいて自動的に定めているわけで、査定依頼者の努力によって変更できるものではありません。
次に、この基本価格をベースに、以下の事項を考慮した加減を行い、基本価格が決定されます。
- エンジン、足回り、電装などの整備費
- 販売店からの利益
- 査定から販売までの日数による減価
- 保証期間、部品価格、外注価格
- 店ごとの微調整
最後に、上記の基本価格に、以下で述べる調整を行い、査定価格が決まります。
基本価格から査定価格を算定する方法についてですが、まず、以下に述べる状態を標準状態とし、査定対象者が標準状態であれば、基本価格=査定価格となります。
- 外装・内装は無傷であること
- エンジン・足回りは走行に支障なく良好であること
- 車検の残り月数は3か月以内であること
- 走行距離は標準であること(1年間で約6,500キロ)
- タイヤの残り溝は1.6mm(スリップサイン)以上であること
- 事故修理歴や改造工作がなく、腐食や臭いがないこと
査定車両について、上記の標準状態を満たさない要件があれば、減点対象となり、査定価格は基本価格を下回ります。
一方、査定車両が、上記の標準状態よりも良好な状態であれば、加点対象となり、査定価格が基本価格を上回ります。
いずれにしても、査定依頼者の努力によって影響を与えることができるのは、基準価格から査定価格が決まるまでの過程のみということになります。
買取店によって査定価格が異なる理由について
JAAIが定める基準は、あくまで、一般的な査定価格の決まり方を示しています。
しかし、中古自動車の査定価格は買取店が自由に定めることができるのが原則なので、買取店によっては、JAAIの定める基準で算定した査定価格とはまったく異なる査定価格を提示する場合もあります。
たとえば、JAAIが定める基準に従えば、走行距離が10万キロを超える自動車の多くは査定額が非常に安くなります。
しかし、海外の一部の国では、日本車に対する評価が非常に高く、走行距離が10万キロを超えるような自動車でも高値で販売できることころもあります。
そういった国に販売ルートを持っている買取店の場合、走行距離10万キロ超の自動車でも高値でさばけるので、比較的高額な査定を行ってくれます。
また、中古部品市場に強力な販売ルートをもっている買取店の場合、中古車市場で再販売できない自動車でも、その自動車から部品を取得して、それを販売して利益を得ることができるので、0円査定ではなく、それなりの査定額を付けることができます。
このように、買取自動車を上手に活用できる買取店は、買取自動車を日本で再販売する以外の利用方法を持たない買取店よりも、高い査定額を付けることが可能です。
このような事情があるため、すべての買取店がJAAIが定める基準にしたがっているわけではなく、買取店によって査定額が少しずつ異なってきます。